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内科・脳神経外科・糖尿病内科・腎臓内科の
浦安やなぎ通り診療所
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60歳代の男性の方が、健康診断で、脳のM R検査をしたところ、「かくれ脳梗塞があると言われました」とのことで来院されました。
「何か治療を始めなくてもいいですか?」と心配されていました。
「かくれ脳梗塞」というのは、医学用語ではありません。
多くは、『無症候性脳梗塞(症状が現れずにいつのまのか起きていた脳梗塞)』を指しているものと思われます。
では、この、『無症候性脳梗塞』があった場合、どうすればいいか、お話ししていきます。
無症候性脳梗塞は、脳の深部へと伸びるとても細い血管の病気(脳小血管病)が基になっており、その多くは、高血圧が原因です。
そのほかに、多量の飲酒や喫煙、メタボリック症候群、慢性腎臓病、糖尿病、心房細動などが、危険因子として報告されており、高血圧管理とともに生活習慣病全般にわたる管理が重要です。
抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)の投与については、脳梗塞を予防するというエビデンスはなく、投与により出血性の脳卒中も発症する可能性があるため、安易に投与すべきではないと考えられています。
しかし、以下の症例は、精査の上、抗血栓薬の投与を検討すべきと考えられます。
①頚動脈や頭蓋内動脈に優位な狭窄がある場合
②非弁膜症性心房細動を有する症例
③無症候性脳梗塞が多発している症例
④白質病変が高度の症例
などです。
無症候性脳梗塞の診断は
①その病巣に見合う神経症候がない
②病巣に該当する自覚症状(一過性脳虚血発作)を過去にも現在にも、本人ないし家族も気づいていない
③M R I検査にて、T1強調画像、T2強調画像、F L A I Rの3つの画像を検討することで、診断精度が向上する
とされており、
「かくれ脳梗塞があると言われた」場合は、脳神経内科や脳神経外科の先生に画像も含めて、診察してもらうのがいいと思います。
「無症候性脳梗塞と言われたら」
まとめ
①高血圧管理とともに生活習慣病全般にわたる管理が重要
②抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)は、安易に投与すべきではない
③しかし、抗血栓薬の投与を検討すべき症例もある
④脳神経内科や脳神経外科など脳卒中の症例を多く診察している先生に画像も含めて、診察してもらうのがいい
参考資料:
脳卒中治療ガイドライン2015 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会
脳ドックのガイドライン2019 日本脳ドック学会
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