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内科・脳神経外科・糖尿病内科・腎臓内科の
浦安やなぎ通り診療所
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糖尿病治療薬 SGLT2阻害薬について
SGLT2阻害薬は、“血液中の余分な糖を尿中に排泄して、血糖値を下げる薬”です。
通常、糖は腎臓の糸球体で濾過された後に、腎尿細管にある糖輸送蛋白S G L T2(sodium-glucose cotransporter2)の働きにより再吸収され、ほとんどの糖が血液中に戻るため尿へ排泄されることはありません。
しかし、糖尿病のように高血糖の状態では、再吸収しきれなかった糖は尿糖として、尿中に排泄されます。
このS G L T2を阻害することにより、糖の再吸収が減少し、余分な糖を尿中に排泄してくれます。
このため、血液中に戻る糖が減少し、血糖値を低下させることができます。
S G L T2阻害薬の効果、利点、良い適応
①血糖値を低下させます。(低血糖の危険性は低いと言われています。)
②糖の吸収が低下する分、エネルギーを補うため脂肪分解が増加し、体重減少にもつながります。
③心血管疾患発症抑制効果も報告されています。
④ほぼ全ての糖尿病治療薬と併用可能です。
⑤肥満型で腎機能が保たれている75歳くらいまでの症例が良い適応です。
S G L T2阻害薬の欠点、使用上注意する点、出現する可能性がある副作用
①尿糖増加により、尿がいっぱい出るようになります。
このため、脱水に注意しなければなりません。
水分摂取が大切です。(痩せ型の高齢者、飲水が不十分になりがちな方、口渇の訴えがない患者さんなどは、使用が難しいと考えられます。)
②尿路感染症・性器感染症が増える可能性があります。
③薬疹が出現することがあります。
④ケトアシドーシス(全身倦怠・悪心嘔吐・体重減少などを伴う場合は、血糖値が正常に近くても、血中ケトン体を確認する)に注意が必要です。
現時点では、第1選択薬というよりは、第2、第3の選択薬という位置付けです。
心血管疾患発症抑制効果、腎保護効果、体重減少効果もあり、適応症例を慎重に選択し、処方されます。