ブログ
内科・脳神経外科・糖尿病内科・腎臓内科の
浦安やなぎ通り診療所
内科・脳神経外科・糖尿病内科・腎臓内科の
浦安やなぎ通り診療所
2型糖尿病治療薬にイメグリミン(ツイミーグ®)という薬剤が、2021年に発売されました。
この薬剤は、細胞にあるミトコンドリアを介して、膵臓においては、インスリンを分泌する細胞(膵β細胞)に働き、グルコース濃度に依存したインスリン分泌を行う作用と、肝臓での糖新生を抑制する作用や骨格筋での糖の取り込みを改善させる作用から血糖値を低下させます。
ミトコンドリア
食事をして血糖値が上昇すると、膵臓では血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌し、血糖値を降下させます。
インスリンを分泌する細胞は、血糖上昇に伴って糖を細胞内に取り込み、ミトコンドリアで代謝し、エネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)を産生し、インスリン分泌を行なっています。
イメグリミンは、この過程に作用し、膵臓でのインスリン分泌(膵作用)を促しています。
今まであるメトホルミンとの違いは、メトホルミンは、肝臓や骨格筋での糖代謝改善(膵外作用)だけでしたが、このイメグリミンには、膵臓でのグルコース濃度に依存したインスリン分泌作用(膵作用)もあり、2つの作用が得られるという点です。
イメグリミンの作用
膵臓でのインスリン分泌 + 肝臓での糖新生の抑制 骨格筋での糖の取り込み改善
また、乳酸の代謝に関わる酵素を阻害しないため、乳酸アシドーシスが起きにくいということも特徴です。
注意すべき症状としては、メトホルミン同様、消化器症状です。
また、腎機能低下症例 eGFR45 mL/min/1.73m2未満での使用は推奨されておりません。
このように、『インスリン分泌低下』と『インスリン抵抗性増大』の2つの病態に同時に効果があり、どのように使用するのが有効なのか、とても注目すべき薬剤と言えます。