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内科・脳神経外科・糖尿病内科・腎臓内科の
浦安やなぎ通り診療所
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40歳代の女性の方が、健診で血清クレアチニン値(Cr)が基準値よりも少し高いと指摘を受け、腎機能低下が疑われるので、再検査をするように指示され、来院されました。
昨年の健診結果は血清クレアチニン値が0.8mg/dlでしたが、今回は、血清クレアチニン値が0.9mg/dlまで上昇しており、eGFRが60ml/分/1.73m2未満に低下していました。
尿一般検査では、尿蛋白も尿潜血も陰性で異常はありません。
*eGFR:推定糸球体濾過量
腎臓の糸球体で、血液をキレイに濾過する量を示し、クレアチニン値から推定で計算されます。
60ml/分/1.73m2未満で、腎機能低下の進行が疑われます。
お話を聞くと運動不足解消のため、半年前からトレーニングをはじめ、少し筋肉がついてきたということでした。
血清クレアチニンは筋肉量と比例するため、高齢で筋肉量が少ない患者さんでは低値に、スポーツ選手など筋肉量の多い患者さんでは高値に出ます。
血清クレアチニンが高値になると、eGFR(推定糸球体濾過量)は低値になります。
血清クレアチニンは肉類の摂取後(肉類に含まれるクレアチニンが吸収される)や尿細管分泌を抑制する薬剤の使用時にも高くなります。
そこで、筋肉量や運動、食事、薬剤の影響を受けないシスタチンCという血清タンパク質を用いて測定をすることにしました。
シスタチンCは、クレアチニン以外の腎機能の指標として、3ヶ月に1回の測定が保険適用となっています。
この患者さんの血清シスタチンCを用いた推定糸球体濾過量eGFRcysは82ml/分/1.73m2と60ml/分/1.73m2以上を示し、腎機能について、現時点で大きな問題はなく、経過観察としました。
eGFRの軽度低下を指摘された方でも、シスタチンCが正常範囲で、尿一般検査で異常がなければ、腎臓に関して過度に心配する必要はないと考えられます。
参照:CKD診療ガイド2012 日本腎臓学会
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